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バセドウ病の診断基準
何をもってバセドウ病と診断されるのか?
と疑問をもったので、調べてみました。

すると日本甲状腺学会 で甲状腺疾患診断ガイドラインというものが作成されていたので、転載させていただきます。





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●甲状腺疾患診断ガイドライン(第7次案)

 ・バセドウ病の診断ガイドライン

 ・甲状腺機能低下症の診断ガイドライン

 ・無痛性甲状腺炎の診断ガイドライン

 ・慢性甲状腺炎(橋本病)の診断ガイドライン

 ・亜急性甲状腺炎(急性期)の診断ガイドライン




【バセドウ病の診断ガイドライン】

a) 臨床所見

1. 頻脈、体重減少、手指振戦、発汗増加等の甲状腺中毒症所見
2. びまん性甲状腺腫大
3. 眼球突出または特有の眼症状


b) 検査所見

1. 遊離T4、遊離T3のいずれか一方または両方高値
2. TSH低値(0.1μU/ml以下)
3. 抗TSH受容体抗体(TRAb, TBII)陽性、または刺激抗体(TSAb)陽性
4. 放射線ヨード(またはテクネシウム)甲状腺摂取率高値、シンチグラフィでびまん性


1) バセドウ病
a)の1つ以上に加えて、b)の4つを有するもの

2) 確からしいバセドウ病
a)の1つ以上に加えて、b)の1、2、3を有するもの

3) バセドウ病の疑い
a)の1つ以上に加えて、b)の1と2を有し、遊離T4、遊離T3高値が3ヶ月以上続くもの

付記
1. コレステロール低値、アルカリフォスターゼ高値を示すことが多い。
2. 遊離T4正常で遊離T3のみが高値の場合が稀にある。
3. 眼症状がありTRAbまたはTSAb陽性であるが、遊離T4およびTSHが正常の例はeuthyroid Graves' diseaseまたはeuthyroid ophthalmopathyといわれる。
4. 高齢者の場合、臨床症状が乏しく、甲状腺腫が明らかでないことが多いので注意をする。
5. 小児では学力低下、身長促進、落ち着きの無さ等を認める。
6. 遊離T3(pg/ml)/遊離T4(ng/dl) 比は無痛性甲状腺炎の除外に参考となる。


【甲状腺機能低下症の診断ガイドライン】

原発性甲状腺機能低下症
a) 臨床所見

無気力、易疲労感、眼瞼浮腫、寒がり、体重増加、動作緩慢、嗜眠、記憶力低下、便秘、嗄声等いずれかの症状

b) 検査所見

遊離T4低値およびTSH高値

原発性甲状腺機能低下症
a)およびb)を有するもの

付記
1. 慢性甲状腺炎(橋本病)が原因の場合、抗マイクロゾーム(またはTPO)抗体または抗サイログロブリン抗体陽性となる。
2. 阻害型抗TSH受容体抗体により本症が発生することがある。
3. コレステロール高値、クレアチンフォスフォキナーゼ高値を示すことが多い。
4. 出産後やヨード摂取過多などの場合は一過性甲状腺機能低下症の可能性が高い。

中枢性甲状腺機能低下症
a) 臨床所見

無気力、易疲労感、眼瞼浮腫、寒がり、体重増加、動作緩慢、嗜眠、記憶力低下、 便秘、嗄声等いずれかの症状

b) 検査所見

遊離T4低値でTSHが低値~正常

中枢性甲状腺機能低下症
a)およびb)を有するもの

除外規定
甲状腺中毒症の回復期、重症疾患合併例、TSHを低下させる薬剤の服用例を除く。

付記
1. 視床下部性甲状腺機能低下症の一部ではTSH値が10μU/ml位まで逆に高値を示すことがある。
2. 中枢性甲状腺機能低下症の診断では下垂体ホルモン分泌刺激試験が必要なので、専門医への紹介が望ましい。

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【無痛性甲状腺炎の診断ガイドライン】

a) 臨床所見

1. 甲状腺痛を伴わない甲状腺中毒症
2. 甲状腺中毒症の自然改善(通常3ヶ月以内)


b) 検査所見

1. 遊離T4高値
2. TSH低値(0.1μU/ml以下)
3. 抗TSH受容体抗体陰性
4. 放射性ヨード(またはテクネシウム)甲状腺摂取率低値


1) 無痛性甲状腺炎
a)およびb)の全てを有するもの

2) 無痛性甲状腺炎の疑い
a)の全てとb)の1~3を有するもの

除外規定
甲状腺ホルモンの過剰摂取例を除く。

付記
1. 慢性甲状腺炎(橋本病)や寛解バセドウ病の経過中発症するものである。
2. 出産後数ヶ月でしばしば発症する。
3. 甲状腺中毒症状は軽度の場合が多い。
4. 病初期の甲状腺中毒症が見逃され、その後一過性の甲状腺機能低下症で気付かれることがある。
5. 抗TSH受容体抗体陽性例が稀にある。

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【慢性甲状腺炎(橋本病)の診断ガイドライン】

a) 臨床所見

1. びまん性甲状腺腫大
但しバセドウ病など他の原因が認められないもの


b) 検査所見

1. 抗甲状腺マイクロゾーム(またはTPO)抗体陽性
2. 抗サイログロブリン抗体陽性
3. 細胞診でリンパ球浸潤を認める


1) 慢性甲状腺炎(橋本病)
a)およびb)の1つ以上を有するもの

付記
1. 他の原因が認められない原発性甲状腺機能低下症は慢性甲状腺炎(橋本病)の疑いとする。
2. 甲状腺機能異常も甲状腺腫大も認めないが抗マイクロゾーム抗体およびまたは抗サイログロブリン抗体陽性の場合は慢性甲状腺炎(橋本病)の疑いとする。
3. 自己抗体陽性の甲状腺腫瘍は慢性甲状腺炎(橋本病)の疑いと腫瘍の合併と考える。
4. 甲状腺超音波検査で内部エコー低下や不均一を認めるものは慢性甲状腺炎(橋本病)の可能性が強い。

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【亜急性甲状腺炎(急性期)の診断ガイドライン】

a) 臨床所見
有痛性甲状腺腫

b) 検査所見

1. CRPまたは赤沈高値
2. 遊離T4高値、TSH低値(0.1μU/ml以下)
3. 甲状腺超音波検査で疼痛部に一致した低エコー域


1) 亜急性甲状腺炎
a)およびb)の全てを有するもの

2) 亜急性甲状腺炎の疑い
a)とb)の1および2

除外規定
橋本病の急性増悪、嚢胞への出血、急性化膿性甲状腺炎、未分化癌

付記
1. 上気道感染症状の前駆症状をしばしば伴い、高熱をみることも稀でない。
2. 甲状腺の疼痛はしばしば反対側にも移動する。
3. 抗甲状腺自己抗体は原則的に陰性であるが経過中弱陽性を示すことが有る。
4. 細胞診で多核巨細胞を認めるが、腫瘍細胞や橋本病に特異的な所見を認めない。
5. 急性期は放射線ヨード(またはテクネシウム)甲状腺摂取率の低下を認める。
by hinahinar | 2005-12-21 16:40 | バセドウ
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